ひざ関節

人工ひざ関節, MIS(TKA, UKA)

トップページ » ひざ関節 » 人工ひざ関節, MIS(TKA, UKA)

MIS人工ひざ関節(TKA, UKA)

 現在人工ひざ関節とよばれるものは、2種類あります。ひざ関節全体を取り替える、一番一般的な TKA(Total Knee Arthroplasty):全置換型人工ひざ関節と、膝の内側または外側のみをいれかえるUKA( Unicompartmental Knee Arthroplasty):片側置換型人工ひざ関節です。

  TKAは、従来、約20cmの傷で行われることがほとんどでしたが、股関節と同様に10cm〜12cm以下の傷でおこなわれたTKAを、 Minimum Invasive Surgery MIS-TKAとよぶようです。ひざに関しても、MISで行うことによって、従来よりも明らかに術後の疼痛が軽く、回復も早いことがわかってきました。
 しかしながら、ひざ関節は股関節と違って非常に大きく、形も複雑な関節です。したがってTKAでひざに入る人工関節自体も大きく、10cmの皮切よりも大きいことは往々にしてあり、現在では8〜10cm程度の傷でおこなうMIS-TKAが、日本でもきわめて少数ですが、学会で報告されるようになりました。

 一方、現在MISとして、脚光を浴びてきているのは、UKAです。
 日本人はひざの内側が痛くなる、いわゆるO脚型(内側型)の変形性関節症が多いため、基本的には内側だけを、人工関節にすれば、TKAに比べて、傷も小さくてすみ、患者さんの術後の痛みも軽減し、非常に理想的でした。このような考えで、今から30年以上前にUKAは存在したのですが、その当時は成績が非常に悪く、いつの間にか一般的には禁忌とさえ思われるようになっていました。ところが、少しずつUKAも改善が施され、UKAでもTKAに勝るとも劣らない良い成績が、たくさん報告されるようになりました。

 こうなると、片方だけの置換で、傷も10cm未満ととても小さく、また、術後の痛みも非常に軽いため、UKAはひざに対するMISのひとつとして近年脚光を浴びてきました。さらに、UKAの大きな特徴として、入れる人工関節が小さいため、8センチ程度の小さい傷で行うことができる上に、筋肉をまったく切らないで手術を終えることができます。(究極のMIS-TKA)筋肉をいっさい切らないMIS-THAのページでも触れましたが、筋肉をいためないことによる術後の回復は著しく、大きな利点、特徴といえます。
 ただし、UKAはあくまでも、片側だけがいたんだ方にする手術であり、その手術の対象になる患者さんはTKAに比べて少ないといえます。


術前レントゲン

術直後の傷

術後のレントゲン


UKA 75歳女性、左ひざの内側のみがいたんだ方でしたので、内側のみの人工関節置換を行いました。
傷の長さは、わずか8.5cmで、手術翌日から歩いてトイレにいけました。

私が施術するMIS人工ひざ関節について

 私は、一般的には10cm程度の傷で行うMIS-TKAをおこなっています。
  10cm未満の傷で行うMIS-TKAは、十分な視野を確保することは、かなりむずかしく、外科医が基本的におこなってはいけないブラインド手術 (目で見えない、確認できないところの骨を切ったりすること)を余儀なくされると考えられてきました(ひざ関節と股関節との間の決定的に違うところです)。
 したがって、これはわれわれのモットーである安全確実で必要な患者さんだけに人工関節を行うという観点からは、外れており、しばらく導入を見送っていました。
 しかしながら、平成18年2月の人工関節学会において、きちんと目で確認しながら、10cm以下の皮切でTKAを行うことができるという発表がちらほらと出始め、時を同じくして、私も10cm以下の皮切できちんとしたTKAを行うことができるようになりました(ただし通常の体格の人に限ります)。
 これは、人工関節器械の工夫もさることながら、手術手技、技術の向上によるものと自負しています。
 これまで、すでに10cm〜12cm程度の皮切でTKAを行っており、術後2〜3週で歩いて帰ることができるという良好な成績は得ていましたが、 10cm 以下程度の極小切開によるMIS-TKAをはじめると、中には術後10日で本人の希望により退院した患者さんも出てきました。
 たった2〜3cm程度傷が小さくなっただけですが、さらに術後の痛みの軽減と早期の回復が期待できるようになりました。
 さて、ひざが痛くて整形外科を受診される方は、たくさんおられますが、手術以外の保存治療、理学療法、関節内注射などでよくなる方はたくさんいます。いやそういう方がほとんどです。
 一番のMIS:最小侵襲な治療は、手術することではなく、手術しないでなおすことであります。したがって私の治療方針としては、これは股関節でも同じことなのですが、まず手術以外の治療が第一です。
 それでも痛みがとれない方のみ(中には初診時から痛みをとるためには手術以外にはないという方もいらっしゃいますが)、まず関節温存のできる骨切り術か、適応のある方はできるだけUKAを選択します。
 それでも駄目なぐらい全体的にひざがいたんでいる方のみMIS-TKAをさせていただくことになりますが、通常の体格の方であれば10cm程度の傷で手術を行うことが可能となりました。


術前レントゲン

術直後の傷

術後のレントゲン


73才女性、MIS-TKA 約9センチの切開で、手術が終了しました。
この方は、手術して11日目に、本人の希望で退院されました。今は杖をつくことなく、元気に歩いておられます

術後回復の様子 歩行動画

81歳 女性
左ひざ UKA(人工ひざ関節単顆置換術)8cm切開
術後10日目の様子(リハビリ開始後1週間)
64歳 女性
右ひざ TKA(人工ひざ関節全置換術) 11cm切開
術後5日目
59歳 女性
右ひざ TKA(人工ひざ関節全置換術) 11cm切開
術後3日目
(※抗生剤の点滴は、通常、術後3日間行う。この日が最終日。)