患者さんからの質問と答え

頚髄損傷と人工関節

Aさん

母(76歳)の右ひざ関節を人工関節にする事についてです。

その一:症状について
母は、昨年末に自動車の助手席に乗っていて交通事故に遭い受傷、第5頚椎整復前方・後方固定の手術を受けました。この手術の麻酔から醒めた直後から、右ひざの曲げ伸ばし時に疼痛を訴えました。母は以前から変形性ひざ関節症でしたが、交通事故前は近所の平坦な道を杖なしで散歩してました。
その後、2つの病院での入院を経て、半年後から自宅に帰って生活しています。リハビリの結果、2つめの病院では、車椅子から平行手すりをつかんで自力で立ち上がり、そのまま前方介助のもとで途中2回、椅子で休みながら手すりの最後まで歩くことができました。その後、トイレ介助の失敗による右ひざの炎症で、3つ目の病院では、自力での立ち上がりができないままでした。退院後、介護保険で訪問リハビリを週2回受けています。消炎鎮痛剤をしていることもあり、先日の訪問リハビリの時には、手すりを持って自力で再び立ち上がることができました。またデイサービスの時にも歩行器で二、三歩、歩けたそうです。右足を軸にした左足の踏み出しが難しいそうです。

その二:退院後に近くの病院を受診しました。診察の結果は、
一 、人工ひざ関節手術で歩けるようになるかどうか、第一回の見極めを次回受診時にしてみましょう。消炎鎮痛剤を処方しますので、訪問リハビリの結果をみてみましょう。
二 、人工関節手術は、大きく開ける方式で行う。出血は1リットル位予想され、入院は、普通一ヶ月です。とのことでした。ちなみに病院のホームページの記載をみる限りでは、そちらの病院では人工ひざ関節のMISは実施されていないようでした。
三:質問について
1、貴病院のホームページに「MIS導入で(手術後)痛みが強くてリハビリできないという事態を避けることができました。」と書いてありました。大きく開ける従来の手術では、痛みが強くてリハビリできない患者の割合は何パーセント位でしょうか。また、痛みが強くて、術後一年経ってもリハビリできないままだった患者の割合は何パーセント位でしょうか。
2、どんなひざ関節の状態の時に、MISでは置換手術ができず、大きく開く方法の手術を選ぶことになるのでしょうか。
3、難波先生の診察を希望しますが、可能でしょうか。
4、MISでの人工ひざ関節手術では、切る筋肉の量などによって出血量はどの程度になるのでしょうか。

質問の答え Answer

お母さんの状態ですが、去年末に交通事故にあい、頚椎の整復、固定術を受けたとあります。ということは、頚髄の損傷を事故で受けたことが予想されます。おそらくそのために、下肢の筋力が弱って、立ちあがることさえ困難な状況になったのではないかと推察します。もし、頚髄損傷が原因で、リハビリが遅れているのであれば、通常は受傷後半年くらいまでは、リハビリの向上は期待できますが、半年以上経つと、明らかな改善は見られなくなるのが普通です。ご本人をみていないので、なんともいえませんが、もともとひざが悪い方で、もし頚髄損傷がさらに悪さをしているために、歩行困難であれば、人工関節の手術によって良くなるかどうか、私は自信が持てません。お母さんが歩行できないのは、痛みが強くて、歩けないのでしょうか?とにかく力が入らなくて、歩けないのでしょうか?そこを見極める必要がありそうです。

以下に質問に答えます。

1、大きく開ける従来の手術では、痛みが強くてリハビリできない患者の割合は何パーセント位でしょうか。

回答:本人が、やる意思があれば、大きく切ろうが、ほとんどの方がリハビリ可能です。ただ、リハビリを積極的に出来るようになる、歩行が安定するまでの時期が早くなるだけです。当院でひざの人工関節した方は、入院が約3週です。地元の病院で、入院が一ヶ月であれば、たかが1週間のために、わざわざ遠方の岡山に来ることはないでしょう。


2、どんなひざ関節の状態の時に、MISでは置換手術ができず、大きく開く方法の手術を選ぶことになるのでしょうか。

回答:肥満のつよいひと、関節の動きが悪い、関節が大きい、骨が弱い(骨粗鬆)の激しい方、などは、むりせずに行っています。


3、難波先生の診察を希望しますが、可能でしょうか。

回答:可能ですが、紹介状をもらってきてください。ただ、手術の適応があるかどうか疑問です。現在のかかられている病院の先生も、痛みが原因で歩けないのかどうか見極めるために、痛み止めを処方して、痛み止めを飲むことで、歩行能力が改善するのかどうか、つまりは、手術の適応があるのかどうか見極めようとされているのだと思います。


4、MISでの人工ひざ関節手術では、切る筋肉の量などによって出血量はどの程度になるのでしょうか。

回答:MIS,筋肉を切る量で、出血量は変わりません。以上より、まずは現在の病院の先生とよく話し合われることをお勧めします。