患者さんからの質問と答え

感染症について

Nさん

人工関節手術の際の感染症が一番危険だと聞いております。私の場合ステロイドを飲み続けており、免疫力も通常より低いと血液の先生よりきいておりますので、若干心配なのですが・・・
それから、貴院では感染症の事例等過去にあるのでしょうか?

質問の答え Answer

まず、人工関節後の感染率ですが、データによりまちまちですが、大体どのデータを見ても、最近は1%未満です。具体的にいうと、100人に一人はいません。200人から1000人の手術を行えば、一人は感染をおこすというふうに理解していただければと思います。感染率を上げる因子としては、Nさんが気にしているステロイド、免疫低下、高齢、糖尿病などがありますが、これらの患者さん群は、たしかに感染をおこしやすいけれども、確立が10倍にもあがるわけでもありません。印象として確かに少しは高いかなという程度です。
 さて、ステロイドを飲んでいる方の代表として、関節リウマチの患者さんがいます。通常の維持量は5mgで、コントロールが難しい方は、10mg飲んでいる方もめずらしくありません。こういった方々が人工関節を受けなくてはならない状況は、日常茶飯事であり、痛みが強くて手術を受けるわけですから、術前にステロイドの量を減らすわけにもいきません。私が今までラッキーだったのかもしれませんが、リウマチの方で術後早期の感染をおこした方は、今までのところいません。したがって、5~10mg程度の量であれば、今のところそんなに感染をおそれなくてもいいのではとは思っています。15mgのんでいる人も手術した経験がありますが、これくらい以上の量になれば、術前にかなり詳しく感染の可能性について説明します。ですが、結局、痛みがあまりにも強ければ、手術せざるを得ないので、皆さん手術を受けられるように思います。

それと、当院でも、昨年1例術後感染をおこした方がおられます。85歳の女性ですが、かなり体力が弱っていた方です。何度か傷をあけて洗いなおしたりしたのですが、どうしても感染が治らず、人工関節を抜去しました。現在はというと、歩行器でトイレは行けるようになり退院しました。人工関節を抜去すると、当然股関節はグラグラになりますが、人工関節がない昔は、わざと大腿骨の骨頭を取り出してグラグラにする手術がありました。こうすれば自発痛はなくなりますし、見た目は悪いのですが歩行時痛も軽減されるからです。当然、感染はまったく無いにこしたことはないのですが、現在において、その確率を下げる努力はかなり行われており、人間ができる範囲のぎりぎりまでは下げられていると思いますし、感染は一度もありませんという病院はありえません。